西田[西田2019]は、物体現象(これを本文中で私は「物質現象」として表記しています)を「各人に共通で不変的関係を有する者を抽象したにすぎない」と述べています。そして、それにもかかわらず物体現象を以て精神現象を説明しようとする姿勢に対しては、「本末を転倒している」と指摘します。彼は、「我々の世界は、意識現象の事実より組み立てられてある」のであり、むしろ「身体はかえって自己の意識の中にある」と捉えているのです。
心理は、外から見た物質現象の確からしさではなく、むしろ一人ひとりの内から観た精神現象の真実でなければなりません。科学は万能ではありません。物理学に準えた心情統計学の回答は一つの方便に過ぎないのです。(第2講 意識現象世界の特徴より抜粋加筆)
Comentarios