チェックランド(Checkland,P.B.)のソフトシステム方法論[チェックランド1981]をアレンジした仮説実験モデル(ソフトシステムズアプローチ)の特徴はその観点にあります。一般的に科学研究では実験科学の観点が主流と言えます。つまり、課題(目標)を定め、これを解明する仮説(理論)を構築し、これを検証するための具体的な計画(方法)を考えて実験することで、仮説の真偽(結論)を明らかにするというものです。私は、この観点を「目(もく)・理(り)・方(ほう)・結(けつ)」と呼んでいます。一方、本アプローチでは、現状を認知して原因を掘り下げ仮説を見いだし、これを踏まえた対策を講じて実践を通じた状況の変化を点検します。これは、「現(げん)・原(げん)・対(たい)・変(へん)」と言うことができると思います。そして、このアプローチには深い学びのステージを内包しています。図1では、破線下のステージ3と4がこれにあたります。一般的に問題解決が失敗する大きな要因として、問題の本質理解の曖昧さを挙げることができます。事実を十分に吟味せず思い込みから原因を特定してしまう傾向が、私たちにあるのです。これを補完するのが3と4のステージです。これらのステージによって、たとえ遠回りであっても、問題の本質を表すモデルを考え、これを切り口とすることでより深い理解(真実)に近づくこと―モデル思考―ができるのです。(立論の特徴より抜粋と一部加筆)

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