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【学説】自己内展(Self involution)とは?

執筆者の写真: 竹村哲竹村哲

更新日:5 日前

自己内展は、人間発達の精神現象を踏まえた自己形成モデルです(注1)。

このモデルでは、学びに関して四つの原因仮説が成り立つと考えます。

・学びの動力因とは、直観である

・学びの資料因とは、経験である

・学びの形相因とは、意味づけである

・学びの目的因とは、一如である

すなわち、印象と現象の衝突が直観を引き起こします。主観は、これをもとに想像・記憶・知覚の経験をします。学びとは経験を意味づけすることで、統覚体系(apperceptive system)を変容することです。この繰り返しが悟性を培い、やがて一層大なる自己(観念)が醸成されていきます。最後には可達(reachability)な見方つまり達観として、一如が(主観に)現れるのです。(第2講 自己内展的な学びの原因仮説より抜粋)

注1)

私は西田の『善の研究』[西田2019]の中の「精神」の要件を以下のように著しました。

・精神の発展において実在成立の根本的性質が現れてくる。実在の性質とは無限の衝突であると共に無限の統一である。

・精神の発展はライプニッツの内展である。

・統一作用は精神と物体の区別をもたらす。それが盛んになると客観的自然と区別された自己の心なる者を自覚する。さらなる衝突によって、それは一層大なる統一に進む。このように実在は精神においてはじめて完全なる実在(独立自全の実在)となれる。

(第2講 西田の仮説より抜粋)


 ライプニッツは、『モナドロジー』[ライプニッツ2019]の中でモナドの中の表象の変化によって魂そして理性的魂となっていくとしているのに対して、西田は、精神における実在の統一作用が自己の心なる者、そして独立自全の実在を生むとしています。私は、用語に違いはあるものの、意識現象から見た人間発達の全体性の捉え方は類似していると考えます。中でも特徴的な共通点は「内展(involution)」という進化・発展の考え方です。(第2講 共通する捉えより抜粋加筆)




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