片口の『性格の話』[片口1987]のなかに、天使と悪魔の話があります。それは、例えば私が「これは悪いことだ」と言ったとしても、それを天使と悪魔が聞いたら、共に悪いことだと思わないといった内容です。なぜなら天使には「悪い」という概念すらないからです。一方、悪魔にとっては、そんなことは悪いうちに入らないからです。善悪の捉えは、相対的なものなのです。国家間においても同様です。その一例が人権の捉えです。すべての国が民主主義を善であると考えているわけではありません。宗教主義や専制主義こそ善と信じている国も少なくありません。つまり、私たちが用いている善悪とは、個別の社会に共通する相対的な道徳観念であると言えます。(第3講 良心の立ち入り禁止区域より抜粋)
善悪とは?
更新日:3月6日
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